ナノ構造形成ナノ光電子物性量子情報デバイスナノ光電子デバイスIoTフォトニクス
IoTフォトニクス基盤技術開発
フォトニクス技術によるモノのインターネット(IoT)の実現に貢献するため、高効率エネルギー変換デバイスや次世代ナノレーザ、光電子融合集積システム技術などの研究開発に取り組んでいます。一例として、中間バンド型太陽電池において理論効率75%が達成可能であることを示すと共に、高度な成長技術を活かした高性能量子ドット太陽電池の作製を進めています。また、高品質フォトニック結晶ナノ共振器を用いた単一量子ドットレーザ、室温動作ナノワイヤ量子ドットレーザの実現にも成功しています。

ナノレーザ(極低電力レーザ)の開発
有限少数個の高品質量子ドットをゲイン媒質とすることで、極低電力動作が可能な革新的ナノレーザの実現が期待できる。我々は、二次元フォトニック結晶の極めて強い光閉じ込め効果を活用した超低閾値ナノ共振器レーザ、無閾値レーザ発振、さらには単一量子ドットによるレーザ発振の実現に成功している。また、マイクロマニピュレーション法を用いて三次元フォトニック結晶ナノ共振器を作製し、そのレーザ発振にも成功している。また、積層量子ドット構造を含むGaAs単一ナノワイヤにおいて室温レーザ発振を世界で初めて実証するとともに、銀薄膜上に転写したInGaAs//GaAsナノワイヤ量子ドットにおいて、プラズモニックレーザ発振を観測した。これらの成果は、高密度光集積および高速強度変調可能な超低消費電力ナノレーザの実現に向けて、重要な進展と位置づけられる。

(左)単一量子ドットレーザ
(右)ナノワイヤレーザ

【主要発表文献】
[1]M. Nomura, et al., Nat. Phys. 6, 279 (2010).
[2]A. Tandaechanurat, et al., Nat. Photonics 5, 91 (2010).
[3] J. Tatebayashi, et al., Nat. Photonics 9, 501 (2015).
[4] J. Ho, et al., Nano Lett. 16, 2845 (2016).

光電子融合集積システム技術の開発
スパコンの性能は四年毎に約10倍高速化しており、2020年には現在の100倍の1EFlopsに達する見込みである。これに伴い、LSIチップ間インターコネクトには10Tbps以上の帯域幅が必要になると予測される。この帯域幅を実現するには光インターコネクトが必要になる。本研究では電気回路と光回路の特徴を活かした光電子融合集積システム技術開発を目標に研究を進めている。特に、情報機器の小型化と低消費電力化の観点からIoTフォトニクス基盤技術に貢献することを目指す。我々はこれまでに、InAs/GaAs量子ドットレーザアレイのフリップチップ実装によるシリコン光回路チップ上への集積化、125 ºCという高温での20 Gpbs高速変調動作、さらに、19 Tbps/cm2という高伝送密度を達成している。これらの成果は、超小型、超低消費電力駆動デバイスの実現へ向けた重要な進展と位置づけられる。(PETRAとの共同研究)

(左)量子ドットレーザアレイを搭載した高温動作可能な光配線チップ
(右)高温動作時に得られたアイパターン

【主要発表文献】
[1] Y. Urino, et al., J. Lightwave Technol. 33, 1223–1229 (2015).
[2] Y. Urino, et al., Electron. Lett. 50, 1377–1378 (2014).

高効率量子ドット太陽電池の基盤技術開発
量子ドットを用いた中間バンド太陽電池は次世代の超高効率太陽電池として期待されている。我々は、バンド構造を適切に設計することにより中間バンド数が4 つの場合にエネルギー変換効率で最大約75%、さらに中間バンド数を増やすことにより80%に近づくことを理論的に明らかにした。また、デバイス実証を試み、18.7%という高効率の量子ドット太陽電池、低温融着技術によるプラスチックフィルム上のフレキシブルな薄膜型量子ドット太陽電池を実現している。現在、太陽光スペクトル整合に向けた量子ドット構造の最適化に取り組んでいる。(シャープとの共同研究)

(左) 理論変換効率のシミュレーション
(右) 太陽光スペクトル整合に向けた量子ドット構造の吸収ピークシフト

【主要発表文献】
[1] T. Nozawa, and Y. Arakawa, Appl. Phys. Lett. 98, 171108 (2011).
[2] K. Tanabe, et al., Appl. Phys. Lett. 100, 193905 (2012).
[3] K. Tanabe, et al., Appl. Phys. Lett. 100, 192102 (2012).
[4] 吉川他、第63回応用物理学会春季学術講演会、19p-W541-11 (2016).