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ナノ光電子デバイス
量子ドットやフォトニック結晶を取り込んだ先端ナノフォトニックデバイスの実現に向けて研究を推進しています。特に産業界との強力な連携のもと、高品質量子ドットレーザの開発に取り組んでいます。更なる高性能化に向けて、高密度・高均一な高利得量子ドットの形成技術開発を進め、ファブリペロー型(FP)レーザの温度安定25 Gbps動作、分布帰還型(DFB)レーザの10 Gbps動作などを実現しています。さらに、シリコン基板上高効率光源の研究を中心に、次世代の光電子融合技術の開発も進めており、ウェハ融着法を用いてシリコン基板上で通信波長帯1.3μm量子ドットレーザやその高速直接変調動作を実現するなどの成果を挙げています。

高性能量子ドットレーザ技術の開発
量子ドットレーザは低しきい値電流、高い温度安定性等優れた特長を有し、光ファイバ通信用波長1.3 µm帯ファブリペロー型(FP)レーザは、(株)QDレーザにより製品化され、310万台以上出荷されている (2016年4月末)。更なる高性能化に向けて、高密度・高均一な高利得量子ドットの形成技術および歪安定化による活性層薄膜化技術開発を進め、波長1.3 µm帯量子ドットFPレーザの220℃発振、小信号変調3dB帯域の13 GHzまでの拡大を実現し、シリコンフォトニクス向け温度安定光源としての多チャンネル素子も開発している。この素子を搭載することにより、25℃から125℃の広い温度範囲において、世界最高クラス伝送帯域密度(15Tbps/cm2)でのシリコン光配線チップの無調整動作を世界で初めて実現することにも成功している。(富士通研、QDレーザ、PETRAとの共同研究)

(左)量子ドットFPレーザの構造
(右)量子ドットレーザアレイを搭載した高温動作可能な光配線チップ

【主要発表文献】
[1] T. Kageyama, et al., NAMBE2015, Mo-07, Mayan Riviera, Mexico (2015).
[2] T. Kageyama, et al., Phys. Status Solidi A 213 958–964 (2016).
[3] Y. Urino, et al., Electronics Letters, 50 1377 (2014).

量子ドット赤外線検出器の開発
量子ドット赤外線検出器(Quantum Dot Infrared Photodetector: QDIP)は、強いキャリア閉じ込めや垂直入射光に対する有限の感度などの特徴から、高感度かつ低暗電流な赤外線検出器として期待されている。我々はこのような高感度赤外線検出器を衛星や航空機に搭載し、中・遠赤外領域のリモートセンシングを行うことにより、水、大気、鉱物等、安全・安心な社会づくりに欠かせない情報の収集を目指している。 我々はこれまで主に単素子試料の評価により、QDIPの特性向上に取り組んできたが、赤外画像取得のためのアレーセンサの開発にも取り組んでいる。右図に示した構造の量子ドットを成長させたウェハから256 x 320ピクセルのアレー素子を作製した。それを読出し用ICと貼りあわせて撮像素子を作製し、半田ごての明瞭な赤外画像の取得に成功した。(NECとの共同研究)

(左)量子ドット層構造断面
(中)撮像素子の模式図
(右)取得したはんだごての赤外画像

【主要発表文献】
[1] 黄他、第63回応用物理学会春季学術講演会、21p-P2-7 (2016).

シリコン集積量子ドットデバイスの開発
低発振閾値電流、高温度動作安定性という特性から、III-V族化合物半導体の量子ドットレーザをシリコン基板ないしシリコン光導波路上に形成したハイブリッドタイプの素子は、光電子集積回路の実現に有望である。これまでに、直接ウェハ融着法とメタルウェハ融着法を用いてシリコン基板上量子ドットレーザの実現及び100℃以上の高温動作に成功した。最近、シリコン基板上量子ドットレーザを作成し、室温における10Gbpsの直接変調動作、さらに高温の60℃における6Gbps直接変調動作を達成している。これらの成果は、次世代の超高速演算、超大容量通信技術をもたらす低消費電力・超高密度光LSIへの布石である。また、光電子集積回路の光源に向けたシリコン導波路上量子ドットレーザを設計し、その作製に取り組んでいる。(PETRA 、QDレーザ、NTTとの共同研究)

(左)シリコン導波路上量子ドットレーザ及び高温動作を示す発振特性
(右)シリコン基板上量子ドットレーザ及び直接変調時のアイパターン


【主要発表文献】
[1] Jhang他、第63回応用物理学会春季学術講演会、20p-S621-1 (2016).
[2] K. Tanabe, and Y. Arakawa, CLEO, STh1G.6 (2014).
[3] B. Jang, et al., Appl. Phys. Express, 9, 9, 092102 (2016).