ナノ構造形成ナノ光電子物性量子情報デバイスナノ光電子デバイスIoTフォトニクス
ナノ構造の光電子物性の探索
フェムト秒レーザ分光や磁気・電気光学分光を駆使し フェムト秒レーザ分光や磁気・電気光学分光を駆使し、量子ドットやフォトニック結晶の電子・光物性を実験的に探究しています。特に、一つの量子ドットを分光し、単一光子を検出・分析できる先端的光学システムを開発し、世界をリードする成果を次々と上げています。最近では、量子ドット励起子のコヒーレント制御技術開発や量子ドット-フォトニック結晶ナノ共振器結合系の物性探索を進めています。量子情報デバイスの基礎研究も推進し、通信波長帯1.55μm高性能単一光子源を実現するとともに、量子鍵配送システムを構築し、100 kmの安全鍵伝送を実証しました。さらに、窒化物系量子ドットによる350 Kでの単一光子発生、光通信波長帯単一光子LEDの実現など、多くの研究成果を挙げています。

InAs/GaAs系量子ドットの光電子物性
単一光子発生器や超低閾値ナノレーザなどの実現に向けIn(Ga)As/GaAs系量子ドットにおける基礎光物性の探索を進めている。中でも、スピン注入による単一量子ドットの動的核スピン偏極を調べており、最近では、励起量子準位を介した核スピン偏極に成功している。また、フォトニック結晶と組みわせることで、光の状態密度操作による核スピン偏極制御も可能となりつつある。これらの成果は、スピントロニクスや量子情報技術への応用を拓くものである。一方、世界最小量子ドットレーザの実現を念頭に、ナノワイヤ量子ドットの研究も展開している。特に、ナノワイヤ共振器や表面プラズモンとの光電子相互作用に着目し研究を進めている。最近では、光子相関測定により単一ナノワイヤ量子ドットからの単一光子発生過程を観測することに成功した。これらの成果は量子ドット複合系の応用に直結する重要な進展といえる。

(左)励起量子準位を介した量子ドット核スピン偏極
(右)単一InGaAs/GaAsナノワイヤ量子ドットの顕微PLスペクトル及び光子相関特性

【主要発表文献】
[1] C. F. Fong, et al., Phys. Rev. B 93, 125306 (2016).
[2] J. Tatebayashi, et al., Appl. Phys. Lett. 100, 263101 (2012).
[3] J. Ho et al., ACS Photonics 2, 165 (2015).

GaN系量子ドットの光電子物性
窒化物半導体量子ナノ構造を室温量子情報素子に応用することを目指し、基礎光電子物性と光デバイス応用の研究を行っている。これまでに、自己形成GaN量子ドットの光電子物性の解明から始まり、その後位置制御GaNナノワイヤ量子ドットにおいてコヒーレント制御や室温単一光子発生の観測に成功した。最近では、窒化物半導体分布ブラッグ反射鏡(DBR)微小共振器を用い、室温における励起子-光子間の強結合効果や局在励起子ポラリトンの観測に成功した。また、窒化物半導体量子ドットにおける従来からの課題であったスペクトル拡散を定量的に説明する統計的なモデルを考案し、ナノワイヤ量子ドットの発光線幅増大の物理的起源の説明に成功した。更に、スペクトル拡散の影響が極めて小さいGaN界面ゆらぎ量子ドットについて、単一光子発生を観測することにも成功した。

(左)局在励起子ポラリトンからの発光
(右)GaN界面ゆらぎ量子ドットにおける単一光子発生を示す発光自己相関ヒストグラム

【主要発表文献】
[1] R. Tao, et al., Appl. Phys. Lett. 107, 101102(2015).
[2] R. Tao, et al., PLMCN17, Tu14 (2016).
[3] F. Le Roux, et al., 63rd JSAP Spring Meeting, 19p-H121-3(2016).
[4]M. Holmes, et al., Phys. Rev. B 92, 115447 (2015).


量子ドット‐フォトニック結晶系の共振器量子電磁力学
量子ドット-フォトニック結晶ナノ共振器結合系は、固体中で大きな共振器量子電磁力学効果を発現させることが可能であり、高効率単一光子光源や超低閾値レーザなどへの応用が期待されている。我々は系特有の物理現象の解明・制御を目的とし、様々な特徴を有するフォトニック結晶ナノ共振器を用いて基礎光学現象の観測に取り組んでいる。これまでに、単一光子-単一励起子間の強い相互作用に起因する真空ラビ分裂を観測した他、固体系においては初めて単一量子系からの二光子自然放出の観測にも成功した。また、量子ドットからの自然放出光を利用する分光技術の開発や走査型電子顕微鏡を用いたナノ共振器中量子ドットの位置検出技術の開発も進めている。

量子ドット-フォトニック結晶結合系からの発光スペクトル

【主要発表文献】
[1] Y. Ota et al., Phys. Rev. Lett. 107, 233602 (2011).
[2] Y. Arakawa et al., IEEE J. Sel. Top. Quantum Electron., 18, 1818 (2012).
[3] K. Kuruma, et al., Appl. Phys. Lett. 109, 071110 (2016).
[4] Y. Ota, et al., Phys. Rev. Lett. 114, 143603 (2015).